GYOMUハックエンジニアが重要になる理由

freee株式会社で初代GYOMUハッカーとして、GYOMUハックチームに所属しているmiryです。

GYOMUハッカーとは社内SEやBPR、ITコンサルなどビジネス要件に対して社内のシステム構築・業務改善・課題解決を行う人たちの総称です。業務ハックとも言われますね。

今日は、GYOMUハッカーがこれから重要になるのではという話をしたいと思います。

エンジニアと一言でいってもいろいろいる

エンジニア、と一言でいっても最近ではいろんな役割のエンジニアが世の中にはあふれていますね。GYOMUハックエンジニア(以後GYOMUハッカー)もその一つです。

そんなGYOMUハッカーを4年近くやってきて、さらには2年ほどGYOMUハッカーのコミュニティ(GYOMU Hackers Guild)を運営してきて感じたのが、GYOMUハッカーの一番大きな特徴は、他のエンジニアと比べて業務におけるコミュニケーションの割合が大きいところではないかということです。

課題発見のためにも現場とのコミュニケーションが欠かせませんし、課題解決においても関係者へのコミュニケーションが欠かせません。コミュニケーションの相手も多いのも特徴だと思います。

GYOMUハッカーが携わるのは社内システムであることが多く、ユーザは社内のメンバーです。そういう意味で、もっとも顧客との距離が近くそして縛られやすいエンジニアなのです。

社内システムのかたち

そもそも社内システムってなんでしょう。

たとえば従業員の管理であったり、財務管理であったり、営業の顧客管理であったりなど、社内にユーザがいるシステムのことをいうのだと思います。

そのシステムも、内製していたり、外注していたり、SaaSを使っていたり、パッケージ製品を使っていたりとさまざまだとおもいます。

サブスクリプションビジネスが主流となっている昨今では、業務系のSaaSが台頭してきていて、ほとんどの企業が何かしらのSaaSのツールを使っているような時代がやってきています。

そういったSaaSのツールを導入する理由は様々かと思いますが、業務効率化とコスト削減が大きいのかなと思います。

すこし検索してみれば、世の中には便利なツールがあります。それなのにわざわざ自分たちで開発する必要はないよね、ということだと思います。

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車輪の再発明

SaaSの導入で一番理解しておかないといけないことが、「ツールは導入したら終わりではない」ということです。

顧客管理のためにSales Cloudを導入しました、これで顧客管理ができるようになります! いえ、なりません。そんな魔法のようなことが起きるのであれば、GYOMUハッカーなどおよびでないのです。

「業務の本質を捉えること」

業務改善をしようと、何かしらのツールを導入しようと思った時に、まずやらなくてはいけないことが、今行われている業務の本質を捉えることです。なぜその業務をやっているのか、どのように行なっているのか、それを整理して、シンプルなプロセスに落とし込むことが重要になってきます。

それができないときは業務が複雑すぎて、そもそものところに無駄があったり、考えすぎてしまっていることがあり得るので、インプットとアウトプットから考えるのもいいかもしれません。

とにかくいきなりツールを触ろうとしないで、業務の整理をするのです。ここでGYOMUハッカーはすごく活躍します。

GYOMUハッカーは基本的にその業務を行う人からしたら外部の人です。その人が外の視点から俯瞰的に業務を見つめて整理できるのです。また、エンジニアというスキルも持ち合わせているので、やりたいこと・とりたい数字をきいてデータモデルで考えることができるのです。

と、ここまではたぶんどんなエンジニアでもできると思うんです。でもそんな彼らとの決定的な違いは、普通のエンジニアだとそれを作っちゃおう!ってなると思うのですが、GYOMUハッカーはこれを解決できるツールはないか、と探すのです。

そして、ツールを用意して、このツールならばこのように解決できる、という道筋を提供します。

導入して終わりではない

いざ、さまざまなステークホルダーとコミュニケーションをとって、ツールの導入に成功しましたとなったとき、それでGYOMUハッカーの仕事は終わりません。

運用が定着化するまで見守ったり、困った時に手を差し伸べるのです。

今までとやり方が変わったことで、少なからず業務効率が下がります。そうすると人間は慣れていたやり方に戻りたくなるのです。

それをもっと簡単なやり方を見つけてはチラつかせたり、こっちの方がメリットが大きいよと声をかけたりして、新しいやり方に慣れてもらいます。

慣れてしまえばこちらのもので、気づけばいつのまにか以前のやり方より効果的に業務を回すことができている、という状態になるのです。

これがGYOMUハックの醍醐味ですね。

GYOMUハッカーの仕事は地味である

GYOMUハックは、コミュニケーションにつぐコミュニケーション、整理整頓、そして当たり前のことを当たり前に、簡単にできるようにすることです。

その基盤を作ることってとっても地味なんです。

地味なんですが、今のSaaS大航海時代で、とっても重要なポジションでもあると思います。SaaSの特性と業務の特性、両方を理解し、エンジニアリングで解決していく。そしてユーザに「あれ、いつの間にかよくなってる!」という体験を提供するのです。

 

縁の下の力持ち

しかし、実はただ依頼ベースで基盤を作るだけじゃありません。

ビジネスの成長の先を見て、この時までにこれを作らなければいけない、という先見の明も必要になるのです。ビジネスに寄り添い、その先を見据えながら現在の課題を解決するエンジニアなのです。

様々な役割のエンジニアが脚光を浴びてきていますが、GYOMUハッカーもそのひとつで、今後どんどん重要になっていくポジションなのだと思われます。